文系な古代史を理数系でみると面白いことに!歴史が変わる?ブックレビュー『日本古代史を科学する』中田力 著
- 2013/12/12
- 20:30
ブックレビュー
『日本古代史を科学する』中田力 著
好きな人は大好きだけど、興味ない人にはまったくどうでもいい、古代史系のお話です。
いや、それが古代史に興味がなくても自然科学に興味のある人は面白くよめると思います、この本。
内容は題名の通り、自然科学の視点から古代史を読み解いて行く本です。
が、おとなしく読み解いてはいきません。今までの古代史の通説をぶった斬り、どう考えても不自然な定説がまかり通っている現在の状況、学会の権威に屈してそれを覆すことのできない体質を批判し、科学的な主観で新説を展開してゆきます。
それは読んでいてもなかなか痛快なものであり、なおかつ古代史学会の文書から考え出された「かもしれない」という曖昧な仮説とは違い、科学的見地からの発言ですから説得力が違います。
そして古代史学会でよく議論の的になる、大きな謎があります。
•邪馬台国はどこにあるのか
•卑弥呼は一体だれなのか
初めの「邪馬台国はどこにあるのか」
当時の海面は現在より5m高かったため、GoogleMAPから5m標高を上げた海岸線を確認、その上で「魏志倭人伝」での魏から邪馬台国への旅程を検討しています。
この宇宙から撮影した映像を組み合わせたコンピュータマップを使っての検証は中野不二男氏が「宇宙考古学」と名付けているようですが、 これは今では様々な分野で活用されています。
考古学でもしかり。立体的に地理を検証できることから、この分野にもかなり大きな影響を与えているのです。
そして邪馬台国へのルートの途中で出てくる伊都国。この二国は定説として、、末盧国は現在の松浦、という比定がなされていました。が、そこもばっさりと斬り込んでいきます。
つまり、その定説でさえ、パラダイムであるというのです。
今までのパラダイムに縛られずにルートを科学の見地から検証してゆきます。
とにかく初めに結論ありきでは、正しい答えにたどり着くことはできない。
定説でさえ疑ってみる。
その考えに改めて目からウロコが落ちる思いでした。
聞くと当たり前で簡単なようですが、実際末盧国は絶対ここだという思い込みをしていた自分に気づくと愕然とします。
その他、多項式近似曲線を使い、天皇の在位年数の割り出しをしたり、Y染色体のハプログループを使い、日本人がどこから来た人種なのか、果ては⚪️⚪️の人たちがどこから来たのかをY染色体を追うことで解明してゆきますが……
正直、文系の私は全部理解できていないでしょう。(笑)
しかし、ゆるぎないデータから検証すると、通説を通そうと思うと無理が出てきます。古代の本当の姿は、文献と科学、考古学とあらゆる立場から見てゆくことで浮かび上がってくるのでしょう。
著者が、古代史の学会にどっぷりと浸かっていないからこそ分かるパラダイムと、新しい視点。
科学の眼から見ると古代史が逆転するかもしれません。
初めは科学者のディープな話についていけないところもありましたが(苦笑。だって、東大医学部出身のお医者さまですもの。この著者さん。)、それを乗り越えると、本当にこの本、内容が濃く面白く読むことができますよ!
興味のある方は読んでみてください。
以上、てらっちでした!
『日本古代史を科学する』中田力 著
好きな人は大好きだけど、興味ない人にはまったくどうでもいい、古代史系のお話です。
いや、それが古代史に興味がなくても自然科学に興味のある人は面白くよめると思います、この本。
内容は題名の通り、自然科学の視点から古代史を読み解いて行く本です。
が、おとなしく読み解いてはいきません。今までの古代史の通説をぶった斬り、どう考えても不自然な定説がまかり通っている現在の状況、学会の権威に屈してそれを覆すことのできない体質を批判し、科学的な主観で新説を展開してゆきます。
それは読んでいてもなかなか痛快なものであり、なおかつ古代史学会の文書から考え出された「かもしれない」という曖昧な仮説とは違い、科学的見地からの発言ですから説得力が違います。
そして古代史学会でよく議論の的になる、大きな謎があります。
•邪馬台国はどこにあるのか
•卑弥呼は一体だれなのか
初めの「邪馬台国はどこにあるのか」
当時の海面は現在より5m高かったため、GoogleMAPから5m標高を上げた海岸線を確認、その上で「魏志倭人伝」での魏から邪馬台国への旅程を検討しています。
この宇宙から撮影した映像を組み合わせたコンピュータマップを使っての検証は中野不二男氏が「宇宙考古学」と名付けているようですが、 これは今では様々な分野で活用されています。
考古学でもしかり。立体的に地理を検証できることから、この分野にもかなり大きな影響を与えているのです。
そして邪馬台国へのルートの途中で出てくる伊都国。この二国は定説として、、末盧国は現在の松浦、という比定がなされていました。が、そこもばっさりと斬り込んでいきます。
つまり、その定説でさえ、パラダイムであるというのです。
今までのパラダイムに縛られずにルートを科学の見地から検証してゆきます。
とにかく初めに結論ありきでは、正しい答えにたどり着くことはできない。
定説でさえ疑ってみる。
その考えに改めて目からウロコが落ちる思いでした。
聞くと当たり前で簡単なようですが、実際末盧国は絶対ここだという思い込みをしていた自分に気づくと愕然とします。
その他、多項式近似曲線を使い、天皇の在位年数の割り出しをしたり、Y染色体のハプログループを使い、日本人がどこから来た人種なのか、果ては⚪️⚪️の人たちがどこから来たのかをY染色体を追うことで解明してゆきますが……
正直、文系の私は全部理解できていないでしょう。(笑)
しかし、ゆるぎないデータから検証すると、通説を通そうと思うと無理が出てきます。古代の本当の姿は、文献と科学、考古学とあらゆる立場から見てゆくことで浮かび上がってくるのでしょう。
著者が、古代史の学会にどっぷりと浸かっていないからこそ分かるパラダイムと、新しい視点。
科学の眼から見ると古代史が逆転するかもしれません。
初めは科学者のディープな話についていけないところもありましたが(苦笑。だって、東大医学部出身のお医者さまですもの。この著者さん。)、それを乗り越えると、本当にこの本、内容が濃く面白く読むことができますよ!
興味のある方は読んでみてください。
以上、てらっちでした!